中国語は、言語としては「孤立語」に分類されます。「孤立語」とは単語自体に(格などによる)変化がなく、また接頭辞や接尾辞なども意味要素としてはほとんど使用されないものです。例を挙げます。
彼は私を愛している。(日本語:膠着語)
He loves me.(英語:屈折語)
他爱我。(中国語:孤立語)
日本語では「愛する」の語尾が変化して「愛して」となっています。
英語では、I(私)の目的格である「me」を使うことで、この「me」が目的語である、ということを表します。
それに対し、中国語では「他」も「爱」も「我」も、格や関係性によっては変化しません。主語だろうと目的語だろうと「他」は「他」ですし、「我」も「我」のままです。また「爱」も語尾の変化などなく、常に「ài」と発音されます。
つまり、中国語では、語の関係を表現する方法は(基本的には)語順しかないのです。
日本語以上に語順が重要になる中国語、ではその具体例を見てみましょう。

文法
中国語の文法とはどういったものでしょうか?よく「英語と似ている」と言われますが、本当にそうなのでしょうか?
基本はSVO
我学习汉语
wǒ xuéxí hànyǔ
私は中国語を勉強します
このように、中国語の基本的な語順は「主語(S)+述語(V)+目的語(O)」となります。
これが大原則ではあるのですが…こればかりで考えていくと、本当に正しい中国語を身につけることはできません。
主題優勢言語
そもそも「主語」「述語」という枠組みで中国語を考えないほうがよいと私は考えています。
中国語は(日本語と同様に)「主題優勢言語」であり、英語などの「主語優勢言語」とはそもそも異なるものだ、という考え方です。
例を挙げます。
这个我知道
zhèige wǒ zhīdào
これ、私知ってます
「これ(这个)」という、文章の話題を文頭に持ってくることで、「私はこれから~~について話します。」と宣言しているわけです。このように、語順が重要で、かつSVOにとどまらない語順が必要になるのが中国語の特徴です。
じゃあ、どうすればいいの?
中国語の語順についてはブログの記事から論文まで様々なテキストがあり、現在に至るまでも議論百出です。
とあるところでは「時間詞+主語+副詞+助動詞+時間詞+前置詞+動詞+数量詞+目的語+助詞」なんて書いてありましたが、試験対策ならまだしも実際の会話でいちいちこんなこと覚えていられません。
従って、一番いい方法は
「読んで、書いて、慣れる」
に限ります。
そうすれば、たとえば
下雨了
xià yǔ le
雨が降ってきた
なんて文章にでくわしてもぎょっとせずに「そういうものだ」と捉えることができるようになります。
その他の文法トピック
時制がない
中国語には時制がありません。その文章がいつの事なのかは、時を表す副詞(きのう、あした、など)や前後の文脈から判断します。時折、文末の「了」が過去を表す、という説明を見ますがこれは正しくありません。文末の「了」は新状況の発生や変化を表すだけで、過去の事にも未来の事にも使います。吃饭了!
chī fàn le!
ご飯ですよ!
(もちろん「吃饭了」で「ご飯を食べました」という意味にもなります。文脈によるとはそういうことです)
否定文は2種類ある
否定をする場合は、「不」(bù)または「没」(méi)を動詞(または助動詞)の前につけます。意思を否定するときは「不」を、事実を否定するときは「没」を使います。
我不结婚 wǒ bù jiéhūn(私は結婚しない)
我没结婚 wǒ méi jiéhūn(私は結婚していない)
(これも、「過去を否定するときは没、未来を否定するときは不」という説明を見たことがありますが、やはり正確ではありません。中国語の文章では時制は意識されません)