竹の分類・分布

竹は常緑性の多年生植物です。分類の仕方や種類の数え方には諸説ありますが、一般に国内にある竹は約600種とされています。
世界に1,200種ほどあるといわれています。意外と多いことに驚きます。
水平的には、赤道を中心にして東西南北に拡がる熱帯地域から温帯地域を含む範囲内に分布しています。
竹はアジアのイメージが強いかもしれないですが、アフリカやマダガスカル、中南米にも分布しています。
また、垂直的には海抜0メートルから分布し、標高5000m付近の寒冷地でもササ類の生育が確認されています。
しかし、こうした地域内でも竹やササが生育できない場所があります。降水量不足のサバンナや砂漠地帯、気温が低く土地がやせた高山帯などは典型的な例です。

驚異の成長速度

毎年地下茎の節にある芽から新しい竹を誕生させ、わずか数カ月で立派な竹に成長するという特徴があります。
1日(24時間)に、マダケで121cm、 モウソウチクで119cm伸びたという記録があります。
その秘密は節にあります。地上に顔を出す前のタケノコを縦に割ってみると、ぎっしりと節がつまっています。成長した時に稈にできる節の数と同じだけの節がタケノコの中にすでにあります。
一つ一つの節のすぐ上には成長する部分があり、そのそれぞれの部分からどんどん伸びていくので、たたんだ提灯を引き延ばすような感じで一気に成長します。(図1参照)
竹は速く成長する一方、2~3か月で成長しきってしまうとその後は全く伸びたり太くならずに、そのまま生き続けます。
樹木で幹に当たる部分を竹類では竹稈(ちくかん)と呼びます。竹の寿命は、竹稈が太いものほど長く、一般には20年ほどといわれています。(図2参照)
また、ぐんぐん成長する竹稈と同じように、地下茎も生命力に溢れた伸長を示します。土質や気象条件によって異なりますが、1年に5mも伸びたという記録があります。
3~4年目の地下茎がタケノコを最も量産し、5年目を過ぎると徐々に減っていきます。それ以降は豊作(表年)と凶作(裏年)がほぼ隔年繰り返され、タケノコの収穫量に差が出てきます。

図1 タケノコの各節の上に成長する部分がある 図2  竹稈、地下茎、タケノコ(モウソウチク、マダケ等の場合)

図2 出典:農林水産省Webサイト(www.rinya.maff.go.jp/j/tokuyou/take/seisitu.html)

竹は竹。木でも草でもない

竹は種類によっては、木のように高く成長します。そのため、木だと思う人がいるかもしれませんが、木ではありません。
木と違うのは、太らないという点です。木の樹皮の内側には、太くなるための形成層という部分があり、年々太くなっていきます。年輪は木が年々太くなった跡です。
しかし、竹には形成層がなく、ある程度の太さになると、その後はずっと同じ太さのままです。硬い節がしっかり支えるので、同じ太さのまま、竹は真っすぐ高くまで成長できるのです。
それでは、竹は草なのでしょうか?
1年で成長し枯れる草との共通点は、一度開花すれば、開花に要する期間に関係なく枯れること、成長期間が短いことです。
しかし、違う点として、竹は大型で木のように硬くなる種が多数ある一方、草は概して小さく、木のように硬くなりません。
また、節について比べると竹は規則的に存在し、そこが伸びて成長しますが、草の場合は葉の付着痕です。

竹の花の不思議

みなさんは、竹にも花が咲くことをご存じですか。
一斉に開花、一斉に枯れるため、その現象がまさに病的に見えることから「開花病」「十年枯病」などと呼ばれ、昔から恐れられてきました。しかし、これは、一定の周期で起こる生理現象であり、病気ではないとのこと。
開花までの周期は長く、インドの北東部、バングラディシュ、ミャンマーにかけて分布するメロカンナ・バクシェラという種は約48年周期で開花します。
他には、モウソウチクは67年目に開花したという事例が2つあるだけで、現状では他の種類ではまだよく分かっていません。また、開花すると種子を実らせるのが一般的ですが、ほとんど種子が実らないものもあります。
一生に1度見られるかどうかという竹の花ですが、私はハチクの花を見たことがあります。開花から1年以上経過後に再び同じ場所を訪れたところ、ハチクは完全に枯れていました。私が撮影した画像が下にあります。

花を咲かせたハチク 切り取ったハチクの花 枯れたハチク

竹は品種改良されていない


竹は開花までの周期が長く、滅多に花を咲かせないため、人工交配が難しく品種改良されていません。つまり、竹は野生の姿のままなのです。
※ 例外は、宇都宮市にある若山農場で栽培されている「ヒメアケボノモウソウチク」。 モウソウチクは高さ10m以上に成長しますが、ヒメアケボノモウソウチクは平均で4m程までしか成長しません。伸び過ぎず管理もしやすく、美しい品種として庭に植えられています。

<参考文献等>
・農林水産省HP 特集1「竹のおはなし」
・木?それとも草? 竹は竹(月刊 たくさんのふしぎ 2010年10月号)文:柴田昌三 絵:石森愛彦 福音館書店
・地域資源を活かす 生活工芸双書 竹 著者 内村悦三 等 農文協